DIGS-1072

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¥3,800(税抜)

狂熱の果て

◎安保闘争後の空虚な時代、JAZZ、車、酒、セックス、暴力に溺れる通称“六本木族”の若者達を斬新かつ過剰な演出で描破した和製ヌーヴェルヴァーグの逸品。異常なまでの退廃、狂気、虚無感が作品を包み込む。


■DVD版の予告編は こちら



「幻の映画」と呼ばれた奇跡のヌーヴェルヴァーグ作品が
遂にオリジナルネガスキャンテレシネ・ニューマスターで遂に甦る!
“狂”うほどの情“熱”から抜けられない若者のあがきとその熱から冷めた若者が見つめる先にあるものとは――



【DVD特典】
●劇場用オリジナル予告編
●2019年2月・シネマヴェーラでのトークショー映像(登壇者:山際永三、藤木孝、星輝美/25分)
●『炎1960~1970』(1968年/監督:山際永三/音:小杉武久、大野松雄/1993年山形ドキュメンタリー映画祭出品/安保闘争での樺美智子の死に感化されて制作された実験映画)。

高校生のミチとアキ子は終夜営業のレストラン〈六本木〉で大企業の御曹司である健次やトランペッターの陽二達と知り合う。ミチの父は元戦犯で今は病床にあったが、同じ戦犯で絞首刑になった北の遺児茂を引取って健次と同じ大学に通わせていた。茂はミチの母と関係を結んでいたが、彼はミチにも欲情の眼を向ける。
こうした歪んだ環境への反抗からミチは健次をリーダーとする六本木族と呼ばれるグループに加わるようになる。ある日ミチの父がガス自殺を計って入院した。家をとび出したミチはやがて陽二に惹かれていき関係をもった。
それから間もなく、ミチに悲しい知らせが届き、ますます生活が自堕落な方向へと向かう――

◎死んだように踊る無気力ダンス、不気味な「アウシュビッツごっこ」、突然のスラッシャー場面・・・不安と不穏と衝撃に満ちた一本。

◎わずかな活動期間で消滅した配給会社「大宝」が配給した5本の作品のうち1本。長らくネガ・プリントが行方不明のまま、再見不可能な幻の映画となっていたものの、山際監督の入念な調査の末、近年になって原版が発見された。

◎1960年代、当時の六本木に集まったヒップな若者達は“六本木族”と呼ばれていた。本作の原作を担当し出演もしている秋元マサミは“六本木野獣会”と呼ばれるグループの中心的人物であり、そこからは大原麗子、峰岸徹、井上順、ムッシュかまやつら、多数のスターを輩出した。

*山際永三・・・新東宝入社後、内田吐夢監督、石井輝男監督に師事し、1961年に本作で監督デビュー。その後、テレビ映画に活動の場を移し、「恐怖劇場アンバランス 」、「ウルトラシリーズ(帰ってきたウルトラマン、エース、タロウ、レオ)」等を監督する他、死刑廃止、人権擁護運動に関する執筆活動で知られる。


【スタッフ】
監督:山際永三
製作:佐川滉
原作:秋本マサミ
脚本:山際永三、山田健
撮影:岡田公直
音楽:林光、萩原秀樹

【キャスト】
星輝美、藤木孝、松原緑郎、松浦浪路、鳴門洋二、秋本マサミ

© EIZOYAMAGIWA

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推薦コメント〉

 あの男は満員の痴漢電車の乗客だった。車内エキストラのくせに「この後、撮影をを見学してもいいですか?」と終日撮影にまとわりつき、いつの間にか獅子プロにもぐり込んでいた。普段はマジメで寡黙・が・酒が入ると訳のわからぬ大法螺吹きに大変身、失敗多数。つくづくアウトプット下手なれど、思いを打ちまけたデビュー作で見事に意気衝天!
観る側にもエネルギーを求める佐藤寿保映画の初号試写で感心したことを思い出した。
滝田洋二郎(映画監督)

 20才代の頃、佐藤寿保さんの映画の助監督をつとめた。ツラかったが、なぜか嫌な思い出じゃない。どちらかというと自慢したい。佐藤寿保さんは変わらない。「止まっているってことと、変わらないってことは違うんだ」寿保さんのことを考えるといつも故PANTAさんの言葉を思い出す。羨ましいと思う。その原点である映画が新たに陽の目を見る。祝福です!
瀬々敬久(映画監督)

 ピンク映画はセックスではなく不能と鬱屈を描くものであり、鬱屈と暴力は若者の特権だ。『激愛!ロリータ密猟』の誰よりも深い絶望は、いまなお我らの胸をかきむしる。
柳下毅一郎(映画評論家/翻訳家)

 嫌な気持ちにさせてくれるディテール。しかし気づくとスッキリさせてくれる。ざっくりと言えば「ヒドイ」映画なのだが、この『激愛!ロリー密猟』の場合それが最上級の褒め言葉にいつしか化けてしまう、とにかくヒドイ映画。必見!
根本敬(特殊漫画家)

 この映画を観て映画制作を志したと云っても過言ではない名作中の名作。
小林良二(映画プロデューサー)

 コンプラ遵守、ジェンダー平等、ハードコア・ポリコレな21世紀の現代に、時空の裂け目が生じ、20世紀の闇から堕ちてきたピンク色の歪な残像!!!!! こんな奇想の封印を解くなんて、不適切にもほどがある!!!!!!!
宇川直宏(“現在”美術家/DOMMUNE主宰)

 陰鬱とした狂気が棲む地下の部屋。新宿の強烈な眩しさ。赤いハイヒールに流れる血。シャッターを切り自ら脱ぐ伊藤清美さんに全身をぶち抜かれた。この作品を見たばっかりに、佐藤寿保作品を求めいまだ亡霊のように彷徨い続けている。
遠藤倫子 (映画zine ORGARM発行人)

 私には「死んだら棺桶に入れるものリスト」がある。
そこにこの映画のタイトルを記す夢が叶った。
だからもう、いつ死んでもいい。
シブヤメグミ (バー浮かぶ・二代目店主)

 淫乱と暴力と初期衝動!
 ノイズやパンク、ロックに造詣が深いところにも衝撃を受けました。
そんな寿保監督のデビュー作が家で観られるなんて!
中原昌也(ミュージシャン/文筆家/映画評論家)

 孤独で混乱した精神の前に、無邪気な人々が行き交う雑踏のどれほど残酷なことか。1985年、バブル直前の新宿に、決して救われ得ない2つの魂が交錯するとき、血と淫欲が〈イノセンス〉を塗り潰す! 身を立て! 名をあげ! やよ励めよ! 真の解放はいつも、血まみれのイニシエーションの先にしか残されていないのだから。
髙橋ヨシキ(アートディレクター/映画評論家/サタニスト)

 私が20歳だった頃の新宿が舞台。毎日のように新宿にいた頃。観ているうちに当時の頭の中をのぞいているような気分になった。不安と根拠のない自信のカオス。ラスト近くのヒロインが不思議な美しさだった。
古市コータロー(ミュージシャン)

 かつてピンク映画館なるものが街中にあった頃、青少年たちは自分の内に秘めた性衝動を、暴力を、妄想を、青暗いスクリーンの中に投影させていた。
 じっとり湿ったシートを、男女のまぐわいを照らし出すぼんやりとした映写機の明かりを、そのやりきれなさを。
 すべて爆発させるために、パンクするしかなかった。
 映画館を、新宿を、狂った触覚がパンクする。
松永天馬(ミュージシャン アーバンギャルド/松永天馬のA研!)

 薄暗闇が終始美しい映画だった。裸電球と炬燵の光に晒される素肌と陰影。ココロとカラダを温めあうのが下手くそ過ぎる悲しい人間たち。誰もいない夜明けの新宿通りのカットはハタチの時の自分の視線ではないかと錯覚した。
宙也(ミュージシャン アレルギー/De-LAX/LOOPUS)

 デビュー作にして、すでに寿保度数120%の傑作! 瑞々しいボーイミーツガールの物語を、問答無用の過激な暴力と流れ落ちる血の鮮烈さが彩る。ゲリラ撮影の80年代新宿の、人が溢れながらも冷ややかな光景が最高!
真魚八重子(映画評論家)