DIGS-1084

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¥4,180
(本体¥3,800)

砂の上の植物群

「リスペクト中平康!」シリーズ第二弾
吉行淳之介のベストセラー小説を中平康が映像化したあまりにも美しい耽美的傑作。
「リスペクト中平康!」シリーズ第二弾はサディズムとマゾヒズム、人間の深層に隠された性欲…モノクロとパートカラーを駆使して、随所に挿入されるパウル・クレーの抽象画、アップを多用した匂い立つ官能描写、コミカルさと表裏一体のアヴァンギャルド描写…中平ならではの映像美で構築された「性の深淵」を鋭く描く傑作。

◎2014年にDVD化されるはずだったが、諸事情により無期延期されていた本作が遂にDVD化!
◎中平康が描き続けた「性愛」映画のミューズ・稲野和子のめまいがするような卑猥なエロティシズム。原作のプロットをなぞりながら展開される物語。「モダニスト」中平康からではの鮮烈なカットと演出によって同年製作の『月曜日のユカ』とはあまりにも対照的な「性の深淵」「性の不毛」「性の解放」を描いた傑作がHDリマスターで待望の初パッケージ化!
◎「何を見せるか、何を隠すか」中平康の巧みな映像設計!

■DVD版の予告編は こちら

佐藤利明氏(娯楽映画研究家)による解説
ここをクリック



■公開当時の惹句
「白い乳房の青い痣!快感の中に溺れこんでゆく異常な女・・・・・・・」

DVD特典
・劇場用予告編+オリジナルポスター画像
・セル用封入特典:プレスシート縮尺再編集版(日本語版・英語版)+小西康陽(音楽家)による
 ライナーノート

◎スタッフ
監督:中平康/原作:吉行淳之介/脚本:池田一朗、加藤彰、中平康
音楽:黛敏郎/撮影:山崎善弘/スチール:斎藤耕一
◎キャスト
仲谷昇、稲野和子、西尾三枝子、高橋昌也、信欽三、小池朝雄、島崎雪子

公開年度:1964年/本編94分

■中平康(1926年-1978年)■
『狙われた男』(56年)で監督デビュー(公開は2作目の後)。2作目の『狂った果実』(56年)が国内外の映画作家の度肝を抜く。その他の監督作として『牛乳屋フランキー』(56年)、『あいつと私』 (61年)、『危いことなら銭になる』(62年)、『月曜日のユカ』(64年)、『結婚相談』(65年)、『混血児リカ』 (72年)、『変奏曲』(76年)等がある。

©日活株式会社

推薦コメント〉

 あの男は満員の痴漢電車の乗客だった。車内エキストラのくせに「この後、撮影をを見学してもいいですか?」と終日撮影にまとわりつき、いつの間にか獅子プロにもぐり込んでいた。普段はマジメで寡黙・が・酒が入ると訳のわからぬ大法螺吹きに大変身、失敗多数。つくづくアウトプット下手なれど、思いを打ちまけたデビュー作で見事に意気衝天!
観る側にもエネルギーを求める佐藤寿保映画の初号試写で感心したことを思い出した。
滝田洋二郎(映画監督)

 20才代の頃、佐藤寿保さんの映画の助監督をつとめた。ツラかったが、なぜか嫌な思い出じゃない。どちらかというと自慢したい。佐藤寿保さんは変わらない。「止まっているってことと、変わらないってことは違うんだ」寿保さんのことを考えるといつも故PANTAさんの言葉を思い出す。羨ましいと思う。その原点である映画が新たに陽の目を見る。祝福です!
瀬々敬久(映画監督)

 ピンク映画はセックスではなく不能と鬱屈を描くものであり、鬱屈と暴力は若者の特権だ。『激愛!ロリータ密猟』の誰よりも深い絶望は、いまなお我らの胸をかきむしる。
柳下毅一郎(映画評論家/翻訳家)

 嫌な気持ちにさせてくれるディテール。しかし気づくとスッキリさせてくれる。ざっくりと言えば「ヒドイ」映画なのだが、この『激愛!ロリー密猟』の場合それが最上級の褒め言葉にいつしか化けてしまう、とにかくヒドイ映画。必見!
根本敬(特殊漫画家)

 この映画を観て映画制作を志したと云っても過言ではない名作中の名作。
小林良二(映画プロデューサー)

 コンプラ遵守、ジェンダー平等、ハードコア・ポリコレな21世紀の現代に、時空の裂け目が生じ、20世紀の闇から堕ちてきたピンク色の歪な残像!!!!! こんな奇想の封印を解くなんて、不適切にもほどがある!!!!!!!
宇川直宏(“現在”美術家/DOMMUNE主宰)

 陰鬱とした狂気が棲む地下の部屋。新宿の強烈な眩しさ。赤いハイヒールに流れる血。シャッターを切り自ら脱ぐ伊藤清美さんに全身をぶち抜かれた。この作品を見たばっかりに、佐藤寿保作品を求めいまだ亡霊のように彷徨い続けている。
遠藤倫子 (映画zine ORGARM発行人)

 私には「死んだら棺桶に入れるものリスト」がある。
そこにこの映画のタイトルを記す夢が叶った。
だからもう、いつ死んでもいい。
シブヤメグミ (バー浮かぶ・二代目店主)

 淫乱と暴力と初期衝動!
 ノイズやパンク、ロックに造詣が深いところにも衝撃を受けました。
そんな寿保監督のデビュー作が家で観られるなんて!
中原昌也(ミュージシャン/文筆家/映画評論家)

 孤独で混乱した精神の前に、無邪気な人々が行き交う雑踏のどれほど残酷なことか。1985年、バブル直前の新宿に、決して救われ得ない2つの魂が交錯するとき、血と淫欲が〈イノセンス〉を塗り潰す! 身を立て! 名をあげ! やよ励めよ! 真の解放はいつも、血まみれのイニシエーションの先にしか残されていないのだから。
髙橋ヨシキ(アートディレクター/映画評論家/サタニスト)

 私が20歳だった頃の新宿が舞台。毎日のように新宿にいた頃。観ているうちに当時の頭の中をのぞいているような気分になった。不安と根拠のない自信のカオス。ラスト近くのヒロインが不思議な美しさだった。
古市コータロー(ミュージシャン)

 かつてピンク映画館なるものが街中にあった頃、青少年たちは自分の内に秘めた性衝動を、暴力を、妄想を、青暗いスクリーンの中に投影させていた。
 じっとり湿ったシートを、男女のまぐわいを照らし出すぼんやりとした映写機の明かりを、そのやりきれなさを。
 すべて爆発させるために、パンクするしかなかった。
 映画館を、新宿を、狂った触覚がパンクする。
松永天馬(ミュージシャン アーバンギャルド/松永天馬のA研!)

 薄暗闇が終始美しい映画だった。裸電球と炬燵の光に晒される素肌と陰影。ココロとカラダを温めあうのが下手くそ過ぎる悲しい人間たち。誰もいない夜明けの新宿通りのカットはハタチの時の自分の視線ではないかと錯覚した。
宙也(ミュージシャン アレルギー/De-LAX/LOOPUS)

 デビュー作にして、すでに寿保度数120%の傑作! 瑞々しいボーイミーツガールの物語を、問答無用の過激な暴力と流れ落ちる血の鮮烈さが彩る。ゲリラ撮影の80年代新宿の、人が溢れながらも冷ややかな光景が最高!
真魚八重子(映画評論家)