DIGS-1089

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¥4,180
(本体¥3,800)

現代っ子

日本を代表する名脚本家倉本聰が企画書から立ち上げたドラマを映画化

ヌーヴェル・ヴァーグの作家たちにも強い影響を与え、再評価が高まる一方の天才監督復刻シリーズ「リスペクト中平康!」第6弾は名脚本家倉本聰による同名ドラマを映画化した逸品。
●日本を代表する名脚本家倉本聰が企画書から立ち上げた同名の連続ドラマ(日本テレビ/1963年)を石原裕次郎をスターダムにのし上げた名プロデューサー水の江滝子が才能を高く買っていた中平康を監督に指名し映画化された。
貧しさにもめげず、たくましく、明るくチャッカリ生き抜いていく“現代っ子”の姿を描く笑いと詩情の感動編であり、エネルギーに満ちた問題作。
●長男やすしを演じるのは俳優・ロカビリー歌手(代表曲は「ジェニジェニ」!)の鈴木やすしで主題歌も歌っている(後にDIG作品『ヤスジのポルノラマ やっちまえ!!』で主役の声も担当)。弟を演じる市川好郎は『キューポラのある街』(1962年)での好演で一躍人気者になった子役スター。妹役は同じく子役スターで、後に歌手、声優等マルチに活動する中山千夏。
●鈴木やすしがかつて付き人を務めていた渥美清がノンクレジットで「渥美清役」で出演!
●担任教師を演じるのは、中平康の代表作『月曜日のユカ』(1964年)の原作者安川実。力道山と喧嘩したり、後にバラエティ番組で「ロス疑惑」の三浦和義や「サラ金の帝王」杉山治夫と熱いバトルを繰り広げたミッキー安川である(名前の由来はミッキーマウスから)。


※佐藤利明氏(娯楽映画研究家)による解説はこちら

■DVD版の予告編は こちら


DVD特典
映像特典:劇場用予告編+オリジナルポスター画像
封入特典:プレスシート縮尺再編集版(日本語版・英語版)

【スタッフ】
監督中平康/企画水の江滝子/脚本倉本聰、弘田功治/撮影姫田真左久
音楽佐藤勝/スチール斎藤耕一/主題歌「現代っ子」(歌鈴木やすし)
挿入歌「アイ・ティク・イット・アウト・オブ・ユー」(唄:沢雄一)
【キャスト】
鈴木やすし、中山千夏、松原智恵子、市川好郎、菅井きん、小沢栄太郎、
桂小金治、、安川実(ミッキー安川)、渥美清


公開年度:1963年/本編95分

©日活株式会社

推薦コメント〉

 あの男は満員の痴漢電車の乗客だった。車内エキストラのくせに「この後、撮影をを見学してもいいですか?」と終日撮影にまとわりつき、いつの間にか獅子プロにもぐり込んでいた。普段はマジメで寡黙・が・酒が入ると訳のわからぬ大法螺吹きに大変身、失敗多数。つくづくアウトプット下手なれど、思いを打ちまけたデビュー作で見事に意気衝天!
観る側にもエネルギーを求める佐藤寿保映画の初号試写で感心したことを思い出した。
滝田洋二郎(映画監督)

 20才代の頃、佐藤寿保さんの映画の助監督をつとめた。ツラかったが、なぜか嫌な思い出じゃない。どちらかというと自慢したい。佐藤寿保さんは変わらない。「止まっているってことと、変わらないってことは違うんだ」寿保さんのことを考えるといつも故PANTAさんの言葉を思い出す。羨ましいと思う。その原点である映画が新たに陽の目を見る。祝福です!
瀬々敬久(映画監督)

 ピンク映画はセックスではなく不能と鬱屈を描くものであり、鬱屈と暴力は若者の特権だ。『激愛!ロリータ密猟』の誰よりも深い絶望は、いまなお我らの胸をかきむしる。
柳下毅一郎(映画評論家/翻訳家)

 嫌な気持ちにさせてくれるディテール。しかし気づくとスッキリさせてくれる。ざっくりと言えば「ヒドイ」映画なのだが、この『激愛!ロリー密猟』の場合それが最上級の褒め言葉にいつしか化けてしまう、とにかくヒドイ映画。必見!
根本敬(特殊漫画家)

 この映画を観て映画制作を志したと云っても過言ではない名作中の名作。
小林良二(映画プロデューサー)

 コンプラ遵守、ジェンダー平等、ハードコア・ポリコレな21世紀の現代に、時空の裂け目が生じ、20世紀の闇から堕ちてきたピンク色の歪な残像!!!!! こんな奇想の封印を解くなんて、不適切にもほどがある!!!!!!!
宇川直宏(“現在”美術家/DOMMUNE主宰)

 陰鬱とした狂気が棲む地下の部屋。新宿の強烈な眩しさ。赤いハイヒールに流れる血。シャッターを切り自ら脱ぐ伊藤清美さんに全身をぶち抜かれた。この作品を見たばっかりに、佐藤寿保作品を求めいまだ亡霊のように彷徨い続けている。
遠藤倫子 (映画zine ORGARM発行人)

 私には「死んだら棺桶に入れるものリスト」がある。
そこにこの映画のタイトルを記す夢が叶った。
だからもう、いつ死んでもいい。
シブヤメグミ (バー浮かぶ・二代目店主)

 淫乱と暴力と初期衝動!
 ノイズやパンク、ロックに造詣が深いところにも衝撃を受けました。
そんな寿保監督のデビュー作が家で観られるなんて!
中原昌也(ミュージシャン/文筆家/映画評論家)

 孤独で混乱した精神の前に、無邪気な人々が行き交う雑踏のどれほど残酷なことか。1985年、バブル直前の新宿に、決して救われ得ない2つの魂が交錯するとき、血と淫欲が〈イノセンス〉を塗り潰す! 身を立て! 名をあげ! やよ励めよ! 真の解放はいつも、血まみれのイニシエーションの先にしか残されていないのだから。
髙橋ヨシキ(アートディレクター/映画評論家/サタニスト)

 私が20歳だった頃の新宿が舞台。毎日のように新宿にいた頃。観ているうちに当時の頭の中をのぞいているような気分になった。不安と根拠のない自信のカオス。ラスト近くのヒロインが不思議な美しさだった。
古市コータロー(ミュージシャン)

 かつてピンク映画館なるものが街中にあった頃、青少年たちは自分の内に秘めた性衝動を、暴力を、妄想を、青暗いスクリーンの中に投影させていた。
 じっとり湿ったシートを、男女のまぐわいを照らし出すぼんやりとした映写機の明かりを、そのやりきれなさを。
 すべて爆発させるために、パンクするしかなかった。
 映画館を、新宿を、狂った触覚がパンクする。
松永天馬(ミュージシャン アーバンギャルド/松永天馬のA研!)

 薄暗闇が終始美しい映画だった。裸電球と炬燵の光に晒される素肌と陰影。ココロとカラダを温めあうのが下手くそ過ぎる悲しい人間たち。誰もいない夜明けの新宿通りのカットはハタチの時の自分の視線ではないかと錯覚した。
宙也(ミュージシャン アレルギー/De-LAX/LOOPUS)

 デビュー作にして、すでに寿保度数120%の傑作! 瑞々しいボーイミーツガールの物語を、問答無用の過激な暴力と流れ落ちる血の鮮烈さが彩る。ゲリラ撮影の80年代新宿の、人が溢れながらも冷ややかな光景が最高!
真魚八重子(映画評論家)