DIGS-1095

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¥4,180
(本体¥3,800)

殺人者(ころし)を追え

「ソフト化不可能の問題作」と噂されてきた日活刑事映画のシャープな絶品がDVDでよみがえる!

◎凶悪犯人を追って情婦の身辺を張り込む二人の刑事。共犯者に潜入されて恐怖の四十八時間をおくる善良な市民・・・・・そんな複雑な人間の心理描写を、団地という特殊な環境を背景に、ドキュメンタルなタッチで描く異色アクション。 

◎競馬場での現金強奪事件発生、凶悪犯の情婦を刑事ふたりが張り込む。平和の象徴たる郊外のマンモス団地で同時多発的に眺める人間模様、やがて強奪金を狙う三人組が別の部屋を乗っ取り、母子を人質に張り込みを始める――。松本清張×野村芳太郎の『張込み』、アルフレッド・ヒッチコックの『裏窓』を思わせる限定空間でのスリル、わずか71分のタイトかつ濃密な団地サスペンス。

◎強情な若手刑事に日活の小高雄二、飄々と犯罪哲学を語る相棒のベテラン刑事に『幕末太陽傳』『黒い画集 あるサラリーマンの証言』ほか名脇役として活躍した織田政雄、両者とも代表作と言っていい存在感を示している。日活の悪役として鳴らした井上昭文は強奪金を狙う三人組のひとりに扮して、粗野な魅力を発揮。上月左知子、香月美奈子と女優陣も充実。

◎音楽は『シン・ウルトラマン』で再注目されている宮内國郎(本編クレジットでは国郎)。東宝や円谷プロの特撮作品で知られる宮内の激レア初期作であり、ジャズをメインに焦燥を引き立てる。脚本は『太陽の季節』の監督・古川卓巳と若井基成によるオリジナル、意欲あふれる前田満州夫のデビューを支えた。前田は競輪映画の破滅的傑作『人間に賭けるな』など日活で4本の監督作を残したのち、国際放映に転じてテレビのプロデューサーとして活躍。そんな“幻の名匠”によるデビュー作は名画座でのリバイバル上映によって再発見され、ついにソフト化が実現した。

◎団地ファンの間では『彼女と彼』(63)、『壁の中の秘事』(65)と並び評される“団地映画”の逸品として長く評価されている。

◎「ありそうでないのがカネだよ……」「それもカネさ。カネさえあれば、すべて解決できるんだ……」。資本主義の原点を鋭くえぐる1962年の刑事バディ映画であり、とある事情を抱えた犯人の動機に、いまやタブー視された時代背景が迫る。盗聴、尾行、のぞき見る日常の裂け目……そして終盤の怒涛の展開、マンモス団地に非常警戒が敷かれ、バスジャック事件が発生。『狂った野獣』の渡瀬恒彦を思わせる体当たりアクションを小高雄二が披露、『三十六人の乗客』『ユリイカ』とともに日本バスジャック映画史に残る作品としても見逃せない!さらには『ダーティーハリー』の児童バスジャックシーンとも通じるヒリヒリとした緊張感!




※原盤の状態により見づらい部分、聞きづらい部分があることをあらかじめご了承ください。

■DVD版の予告編は こちら


※高鳥都氏(ライター)による解説は
こちら


DVD特典
映像特典:劇場用予告編+オリジナルポスター画像
封入特典:プレスシート縮尺再編集版

【スタッフ】
監督:前田満州夫/脚本:古川卓巳、若井基成/音楽:宮内国郎/撮影:萩原泉


【キャスト】
小高雄二、織田政雄、香月美奈子、井上昭文、上月左知子、南寿美子
加原武門、野呂圭介、雪丘恵介、若原初子、木浦佑三

公開年度:1962年/本編71分

©日活株式会社

推薦コメント〉

 あの男は満員の痴漢電車の乗客だった。車内エキストラのくせに「この後、撮影をを見学してもいいですか?」と終日撮影にまとわりつき、いつの間にか獅子プロにもぐり込んでいた。普段はマジメで寡黙・が・酒が入ると訳のわからぬ大法螺吹きに大変身、失敗多数。つくづくアウトプット下手なれど、思いを打ちまけたデビュー作で見事に意気衝天!
観る側にもエネルギーを求める佐藤寿保映画の初号試写で感心したことを思い出した。
滝田洋二郎(映画監督)

 20才代の頃、佐藤寿保さんの映画の助監督をつとめた。ツラかったが、なぜか嫌な思い出じゃない。どちらかというと自慢したい。佐藤寿保さんは変わらない。「止まっているってことと、変わらないってことは違うんだ」寿保さんのことを考えるといつも故PANTAさんの言葉を思い出す。羨ましいと思う。その原点である映画が新たに陽の目を見る。祝福です!
瀬々敬久(映画監督)

 ピンク映画はセックスではなく不能と鬱屈を描くものであり、鬱屈と暴力は若者の特権だ。『激愛!ロリータ密猟』の誰よりも深い絶望は、いまなお我らの胸をかきむしる。
柳下毅一郎(映画評論家/翻訳家)

 嫌な気持ちにさせてくれるディテール。しかし気づくとスッキリさせてくれる。ざっくりと言えば「ヒドイ」映画なのだが、この『激愛!ロリー密猟』の場合それが最上級の褒め言葉にいつしか化けてしまう、とにかくヒドイ映画。必見!
根本敬(特殊漫画家)

 この映画を観て映画制作を志したと云っても過言ではない名作中の名作。
小林良二(映画プロデューサー)

 コンプラ遵守、ジェンダー平等、ハードコア・ポリコレな21世紀の現代に、時空の裂け目が生じ、20世紀の闇から堕ちてきたピンク色の歪な残像!!!!! こんな奇想の封印を解くなんて、不適切にもほどがある!!!!!!!
宇川直宏(“現在”美術家/DOMMUNE主宰)

 陰鬱とした狂気が棲む地下の部屋。新宿の強烈な眩しさ。赤いハイヒールに流れる血。シャッターを切り自ら脱ぐ伊藤清美さんに全身をぶち抜かれた。この作品を見たばっかりに、佐藤寿保作品を求めいまだ亡霊のように彷徨い続けている。
遠藤倫子 (映画zine ORGARM発行人)

 私には「死んだら棺桶に入れるものリスト」がある。
そこにこの映画のタイトルを記す夢が叶った。
だからもう、いつ死んでもいい。
シブヤメグミ (バー浮かぶ・二代目店主)

 淫乱と暴力と初期衝動!
 ノイズやパンク、ロックに造詣が深いところにも衝撃を受けました。
そんな寿保監督のデビュー作が家で観られるなんて!
中原昌也(ミュージシャン/文筆家/映画評論家)

 孤独で混乱した精神の前に、無邪気な人々が行き交う雑踏のどれほど残酷なことか。1985年、バブル直前の新宿に、決して救われ得ない2つの魂が交錯するとき、血と淫欲が〈イノセンス〉を塗り潰す! 身を立て! 名をあげ! やよ励めよ! 真の解放はいつも、血まみれのイニシエーションの先にしか残されていないのだから。
髙橋ヨシキ(アートディレクター/映画評論家/サタニスト)

 私が20歳だった頃の新宿が舞台。毎日のように新宿にいた頃。観ているうちに当時の頭の中をのぞいているような気分になった。不安と根拠のない自信のカオス。ラスト近くのヒロインが不思議な美しさだった。
古市コータロー(ミュージシャン)

 かつてピンク映画館なるものが街中にあった頃、青少年たちは自分の内に秘めた性衝動を、暴力を、妄想を、青暗いスクリーンの中に投影させていた。
 じっとり湿ったシートを、男女のまぐわいを照らし出すぼんやりとした映写機の明かりを、そのやりきれなさを。
 すべて爆発させるために、パンクするしかなかった。
 映画館を、新宿を、狂った触覚がパンクする。
松永天馬(ミュージシャン アーバンギャルド/松永天馬のA研!)

 薄暗闇が終始美しい映画だった。裸電球と炬燵の光に晒される素肌と陰影。ココロとカラダを温めあうのが下手くそ過ぎる悲しい人間たち。誰もいない夜明けの新宿通りのカットはハタチの時の自分の視線ではないかと錯覚した。
宙也(ミュージシャン アレルギー/De-LAX/LOOPUS)

 デビュー作にして、すでに寿保度数120%の傑作! 瑞々しいボーイミーツガールの物語を、問答無用の過激な暴力と流れ落ちる血の鮮烈さが彩る。ゲリラ撮影の80年代新宿の、人が溢れながらも冷ややかな光景が最高!
真魚八重子(映画評論家)