DIGS-1096
¥4,180
(本体¥3,800)
人間に賭けるな
このソフト化そのものが“賭け”ともいえるギャンブル映画の大穴!
・「私はねえ、クラクラっとするような生き方が好きなんだ。良い悪いなんて問題じゃない。平凡な毎日なんてがまんできない。」
・「賭けは儲けのためにするんじゃない。好きになったためには滅びるまで賭け続けるのよ。」
◎「ケイリン、ケイリンって何ですか?」「自転車競争ですよ。日本では自転車に乗るプロ選手に金を賭けるのです」…競輪を通じて日本人の本質をえぐる狂気のメロドラマ。自分の体を張ることで、一人の人間を本当に変えることができるかどうか─すべてを投げ打って一人の男に打ち込んだ女の執念の姿を幻の名匠前田満州夫がシャープなタッチで描き上げる異色の問題作。
◎主演は『果しなき欲望』(58)、『人間狩り』(62)、『競輪上人行状記』(63)とワケあり女を演じさせたら絶品の名女優渡辺美佐子、賭けに執着した人間の美しさと女の悲哀を見事に浮かび上がらせる。渡辺が演じるのは“姐さん”と呼ばれる組長のオンナ。「言っとくけどね、あたし、あんたに賭けてるのよ!」─競輪場に通いつめ、刑務所に入っているダンナに内緒で若き選手・新田(川地民夫)にのめり込んでゆく。インチキ外国語でおなじみコメディアンの藤村有弘がギャンブル狂の会社員を笑い抜きでシリアスに演じ、渡辺美佐子とともに汗だくの狂騒を繰り広げる。女たちを射抜く川地民夫のヤンチャな魅力も見どころの一つ。
◎底なしのニッポン競輪ヌーヴェルヴァーグ、日活ギャンブル映画の代表作『競輪上人行状記』の原作を手がけた直木賞作家・寺内大吉の同名小説を松竹ヌーヴェルヴァーグの森川英太朗と田村孟がシナリオ化、しびれるセリフ満載の異形ドラマに野心みなぎるアヴァンギャルドな前田満州夫演出が応える。躍動感あふれるハンディカメラに驚異の移動ショット、撮影は『狂熱の季節』(60)ほか蔵原惟繕とのコンビで名を馳せた間宮義雄によるもの。さらには伊部晴美の音楽がギャンブルの恍惚を引き立てる。
◎今日もまた打鐘(ジャン)が響く! 車券が舞い、怒号が飛び交う! 欲望と破滅に満ちたピカレスク……まくり、まくられ、止まりたくても止まれない男の女のギャンブル沼へようこそ。金網越しにレースを見つめる渡辺美佐子の競輪地獄おんな道!大宮競輪場、名古屋競輪場、西宮競輪場と当時の競輪場でのロケーションも貴重だ。バイタリティたっぷり堕ちてゆく男女の行く末を見逃すな!
【公開当時の惹句より】
・執念の賭けに燃えあがる女体の青い炎……愛を捨てて、孤独に生きた女のすさまじい欲望の果て!
・賭けては敗れ、敗れては賭けていく!勝負につかれ、愛欲に浸っていく宿命の人間像!
・賭けろ!とことんまで賭けろ!すべてを捨て、飽くなき執念に生きる女の一生を鋭くえぐる異色の問題作!
・男に惚れたら命がけでやるんだよ!ギリギリの人生に身を灼きとことんまで勝負していく女の執念!
【ロケ地】
埼玉県:さいたま市(大宮競輪場)/東京都:豊島区(池袋)・新宿区(紀伊國屋書店)/兵庫県:西宮市(西宮競輪場)/愛知県:名古屋市(名古屋競輪場)
※原盤の状態により見づらい部分、聞きづらい部分があることをあらかじめご了承ください。
■DVD版の予告編は こちら
※高鳥都氏(ライター)による解説は
こちら
DVD特典
映像特典:劇場用予告編+オリジナルポスター画像
封入特典:プレスシート縮尺再編集版(日本語版)
【スタッフ】
監督:前田満州夫/企画:水の江瀧子/原作:寺内大吉/脚本:田村孟、森川英太朗
音楽:伊部晴美/撮影:間宮義雄
※表記は本編クレジットを優先しております。
【キャスト】
渡辺美佐子、川地民夫、藤村有弘、二本柳寛、結城美栄子
河上信夫、木浦佑三、上月左知子
公開年度:1964年/本編84分
©日活株式会社
推薦コメント〉
あの男は満員の痴漢電車の乗客だった。車内エキストラのくせに「この後、撮影をを見学してもいいですか?」と終日撮影にまとわりつき、いつの間にか獅子プロにもぐり込んでいた。普段はマジメで寡黙・が・酒が入ると訳のわからぬ大法螺吹きに大変身、失敗多数。つくづくアウトプット下手なれど、思いを打ちまけたデビュー作で見事に意気衝天!
観る側にもエネルギーを求める佐藤寿保映画の初号試写で感心したことを思い出した。
滝田洋二郎(映画監督)
20才代の頃、佐藤寿保さんの映画の助監督をつとめた。ツラかったが、なぜか嫌な思い出じゃない。どちらかというと自慢したい。佐藤寿保さんは変わらない。「止まっているってことと、変わらないってことは違うんだ」寿保さんのことを考えるといつも故PANTAさんの言葉を思い出す。羨ましいと思う。その原点である映画が新たに陽の目を見る。祝福です!
瀬々敬久(映画監督)
ピンク映画はセックスではなく不能と鬱屈を描くものであり、鬱屈と暴力は若者の特権だ。『激愛!ロリータ密猟』の誰よりも深い絶望は、いまなお我らの胸をかきむしる。
柳下毅一郎(映画評論家/翻訳家)
嫌な気持ちにさせてくれるディテール。しかし気づくとスッキリさせてくれる。ざっくりと言えば「ヒドイ」映画なのだが、この『激愛!ロリー密猟』の場合それが最上級の褒め言葉にいつしか化けてしまう、とにかくヒドイ映画。必見!
根本敬(特殊漫画家)
この映画を観て映画制作を志したと云っても過言ではない名作中の名作。
小林良二(映画プロデューサー)
コンプラ遵守、ジェンダー平等、ハードコア・ポリコレな21世紀の現代に、時空の裂け目が生じ、20世紀の闇から堕ちてきたピンク色の歪な残像!!!!! こんな奇想の封印を解くなんて、不適切にもほどがある!!!!!!!
宇川直宏(“現在”美術家/DOMMUNE主宰)
陰鬱とした狂気が棲む地下の部屋。新宿の強烈な眩しさ。赤いハイヒールに流れる血。シャッターを切り自ら脱ぐ伊藤清美さんに全身をぶち抜かれた。この作品を見たばっかりに、佐藤寿保作品を求めいまだ亡霊のように彷徨い続けている。
遠藤倫子 (映画zine ORGARM発行人)
私には「死んだら棺桶に入れるものリスト」がある。
そこにこの映画のタイトルを記す夢が叶った。
だからもう、いつ死んでもいい。
シブヤメグミ (バー浮かぶ・二代目店主)
淫乱と暴力と初期衝動!
ノイズやパンク、ロックに造詣が深いところにも衝撃を受けました。
そんな寿保監督のデビュー作が家で観られるなんて!
中原昌也(ミュージシャン/文筆家/映画評論家)
孤独で混乱した精神の前に、無邪気な人々が行き交う雑踏のどれほど残酷なことか。1985年、バブル直前の新宿に、決して救われ得ない2つの魂が交錯するとき、血と淫欲が〈イノセンス〉を塗り潰す! 身を立て! 名をあげ! やよ励めよ! 真の解放はいつも、血まみれのイニシエーションの先にしか残されていないのだから。
髙橋ヨシキ(アートディレクター/映画評論家/サタニスト)
私が20歳だった頃の新宿が舞台。毎日のように新宿にいた頃。観ているうちに当時の頭の中をのぞいているような気分になった。不安と根拠のない自信のカオス。ラスト近くのヒロインが不思議な美しさだった。
古市コータロー(ミュージシャン)
かつてピンク映画館なるものが街中にあった頃、青少年たちは自分の内に秘めた性衝動を、暴力を、妄想を、青暗いスクリーンの中に投影させていた。
じっとり湿ったシートを、男女のまぐわいを照らし出すぼんやりとした映写機の明かりを、そのやりきれなさを。
すべて爆発させるために、パンクするしかなかった。
映画館を、新宿を、狂った触覚がパンクする。
松永天馬(ミュージシャン アーバンギャルド/松永天馬のA研!)
薄暗闇が終始美しい映画だった。裸電球と炬燵の光に晒される素肌と陰影。ココロとカラダを温めあうのが下手くそ過ぎる悲しい人間たち。誰もいない夜明けの新宿通りのカットはハタチの時の自分の視線ではないかと錯覚した。
宙也(ミュージシャン アレルギー/De-LAX/LOOPUS)
デビュー作にして、すでに寿保度数120%の傑作! 瑞々しいボーイミーツガールの物語を、問答無用の過激な暴力と流れ落ちる血の鮮烈さが彩る。ゲリラ撮影の80年代新宿の、人が溢れながらも冷ややかな光景が最高!
真魚八重子(映画評論家)