©「愛について、東京」製作委員会

DIGS-1003

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現代の東京。郊外のと畜場で働きながら日本語学校に通う北京からの就学生・方純は、ホストクラブで働く仲間の潘小毛といかさまパチンコで儲けた金で日本料理屋で豪遊、そこで働く中国人少女・アイリンと知り合う。日本生まれ中国語が話せない彼女は、上海にいる祖父母を訪ねるのが夢だった。ある時、方純は再びいかさまパチンコを働くが、その不正を元やくざの店長・遠藤に捕まり10万円払うよう要求される。どうしても払えない方純に遠藤は金の代わりにアイリンの紹介を強要し、方純もその条件を飲むのだが・・・


『ゴッド・スピード・ユー!BLACK EMPEROR.』、『十九歳の地図』、『さらば愛しき大地』、『火まつり』と厳しく人間の本質を描き続けた柳町光男が、東京で暮らす中国人留学生の生活ぶりに興味を持ち、一気にシナリオを書き上げて製作された問題作。主人公の方純を演じるのは中国で歌手の経験もあり、たまたま留学生として日本にいる際にオーディションで合格したウー・シャオトン。アイリン役には映画初出演にして大胆に肢体も見せる岡坂あすか(現・黒沢あすか)、ヤクザの遠藤役を藤岡弘、が独特の迫力で演じる。撮影は「泥の河」の安藤庄平、美術監督は名匠木村威夫が担当している。


[スタッフ]
監督・脚本: 柳町光男
製作総指揮:田中穣、萩野正昭
撮影:安藤庄平
美術監督:木村威夫
美術:竹内公一
音楽:立川直樹
音楽:溝口肇
[キャスト]
ウー・シャオトン、岡坂あすか(現 黒沢あすか)、戸川純、
今井雅之、浜田晃、渡辺哲、ガダルカナル・タカ、宮下順子、藤岡弘、


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推薦コメント〉

 あの男は満員の痴漢電車の乗客だった。車内エキストラのくせに「この後、撮影をを見学してもいいですか?」と終日撮影にまとわりつき、いつの間にか獅子プロにもぐり込んでいた。普段はマジメで寡黙・が・酒が入ると訳のわからぬ大法螺吹きに大変身、失敗多数。つくづくアウトプット下手なれど、思いを打ちまけたデビュー作で見事に意気衝天!
観る側にもエネルギーを求める佐藤寿保映画の初号試写で感心したことを思い出した。
滝田洋二郎(映画監督)

 20才代の頃、佐藤寿保さんの映画の助監督をつとめた。ツラかったが、なぜか嫌な思い出じゃない。どちらかというと自慢したい。佐藤寿保さんは変わらない。「止まっているってことと、変わらないってことは違うんだ」寿保さんのことを考えるといつも故PANTAさんの言葉を思い出す。羨ましいと思う。その原点である映画が新たに陽の目を見る。祝福です!
瀬々敬久(映画監督)

 ピンク映画はセックスではなく不能と鬱屈を描くものであり、鬱屈と暴力は若者の特権だ。『激愛!ロリータ密猟』の誰よりも深い絶望は、いまなお我らの胸をかきむしる。
柳下毅一郎(映画評論家/翻訳家)

 嫌な気持ちにさせてくれるディテール。しかし気づくとスッキリさせてくれる。ざっくりと言えば「ヒドイ」映画なのだが、この『激愛!ロリー密猟』の場合それが最上級の褒め言葉にいつしか化けてしまう、とにかくヒドイ映画。必見!
根本敬(特殊漫画家)

 この映画を観て映画制作を志したと云っても過言ではない名作中の名作。
小林良二(映画プロデューサー)

 コンプラ遵守、ジェンダー平等、ハードコア・ポリコレな21世紀の現代に、時空の裂け目が生じ、20世紀の闇から堕ちてきたピンク色の歪な残像!!!!! こんな奇想の封印を解くなんて、不適切にもほどがある!!!!!!!
宇川直宏(“現在”美術家/DOMMUNE主宰)

 陰鬱とした狂気が棲む地下の部屋。新宿の強烈な眩しさ。赤いハイヒールに流れる血。シャッターを切り自ら脱ぐ伊藤清美さんに全身をぶち抜かれた。この作品を見たばっかりに、佐藤寿保作品を求めいまだ亡霊のように彷徨い続けている。
遠藤倫子 (映画zine ORGARM発行人)

 私には「死んだら棺桶に入れるものリスト」がある。
そこにこの映画のタイトルを記す夢が叶った。
だからもう、いつ死んでもいい。
シブヤメグミ (バー浮かぶ・二代目店主)

 淫乱と暴力と初期衝動!
 ノイズやパンク、ロックに造詣が深いところにも衝撃を受けました。
そんな寿保監督のデビュー作が家で観られるなんて!
中原昌也(ミュージシャン/文筆家/映画評論家)

 孤独で混乱した精神の前に、無邪気な人々が行き交う雑踏のどれほど残酷なことか。1985年、バブル直前の新宿に、決して救われ得ない2つの魂が交錯するとき、血と淫欲が〈イノセンス〉を塗り潰す! 身を立て! 名をあげ! やよ励めよ! 真の解放はいつも、血まみれのイニシエーションの先にしか残されていないのだから。
髙橋ヨシキ(アートディレクター/映画評論家/サタニスト)

 私が20歳だった頃の新宿が舞台。毎日のように新宿にいた頃。観ているうちに当時の頭の中をのぞいているような気分になった。不安と根拠のない自信のカオス。ラスト近くのヒロインが不思議な美しさだった。
古市コータロー(ミュージシャン)

 かつてピンク映画館なるものが街中にあった頃、青少年たちは自分の内に秘めた性衝動を、暴力を、妄想を、青暗いスクリーンの中に投影させていた。
 じっとり湿ったシートを、男女のまぐわいを照らし出すぼんやりとした映写機の明かりを、そのやりきれなさを。
 すべて爆発させるために、パンクするしかなかった。
 映画館を、新宿を、狂った触覚がパンクする。
松永天馬(ミュージシャン アーバンギャルド/松永天馬のA研!)

 薄暗闇が終始美しい映画だった。裸電球と炬燵の光に晒される素肌と陰影。ココロとカラダを温めあうのが下手くそ過ぎる悲しい人間たち。誰もいない夜明けの新宿通りのカットはハタチの時の自分の視線ではないかと錯覚した。
宙也(ミュージシャン アレルギー/De-LAX/LOOPUS)

 デビュー作にして、すでに寿保度数120%の傑作! 瑞々しいボーイミーツガールの物語を、問答無用の過激な暴力と流れ落ちる血の鮮烈さが彩る。ゲリラ撮影の80年代新宿の、人が溢れながらも冷ややかな光景が最高!
真魚八重子(映画評論家)